判定結果からストレスの対策へ

・判定図から評価された職場の特徴を参考にして、その職場のストレス問題の特徴について見当をつけます。例えば、仕事量の割に、仕事の自由度が少ないなどです。

・実際の職場において、それが具体的にはどのような問題として生じているのかを実地調査します。実地調査の方法には、判定図の結果をもとにした産業医や衛生管理者の職場巡視、職場上司および従業員からのヒアリングなどがあります。これらの情報をもとに、可能性のあるストレス要因として、できるだけ具体的な問題をリストアップします。例えば、生産ラインの作業スピードが早く、作業員が生理的要求に対して短時間でもラインを離れることが困難である、などです。問題は、仕事の量や複雑さの問題、仕事上の自由度(コントロール)や裁量権の問題、職場の人間関係やサポートシステムの問題に分けて整理するとよいでしょう。

・リストアップされた問題1つ1つに対して、職場上司、産業医、衛生管理者、人事・労務担当者などが相談の上、可能な改善計画をたてます。従業員が参加できるようにするとさらに効果的な対策が立案できます。

・対策の計画ができあがったら、実行します。計画どおりに実行されているか、実施上の問題はおきていないか、進捗状況を定期的に確認します。対策が完了したら、できるだけ効果を評価しておくようにしましょう。ただし、医療費や疾病休業などに対する効果があらわれるには通常数年の観察期間が必要です。

 

パターン別のストレス対策のヒント

 

1.「仕事の量的負担」が多い場合

・仕事の量的負担への対策は、生産性と結びついていない余分な作業量を改善によって減少させることで可能になります。例えば、運転前後での機械のチェックポイント数を小集団活動によって軽減するなどの工夫があります。

・仕事の進行に困難があると、仕事の量的な負担感が増加します。このような場合には、作業が円滑にできるよう作業方法を改善することが大事な対策になります。逆に、仕事量が多いはずなのに「仕事の量的負担」が低めであった場合には円滑に仕事が進む環境が整っているといえるでしょう。

・実質的な労働時間が一日10時間(週労働時間で50時間相当、月残業時間で50-60時間相当)以上にならないような計画をたて、また効率のよい作業方法を工夫しましょう。

2.仕事の量に比較して仕事のコントロール(自由度や裁量権)が低い場合

・仕事のコントロールを増やすということは、「個々人の能力を活用できる機会を作る」ことです。仕事の量的な負担や困難に対して、個々の従業員または作業グループが自ら問題解決できる機会を作ったり、そのための自由度や権限の幅を増やすように工夫しましょう。

・仕事のすすめ方や職場環境の改善など、職場での意志決定に従業員が発言できる機会を増やしましょう。

・仕事の目標、作業の見通し、作業の位置づけなどの情報がメンバーにきちんと伝えられることによっても、従業員の仕事のコントロール(自由度)は改善します。

OJTや技能研修なども、仕事のコントロールを増やすことにつながります。

3.上司あるいは同僚の支援が低い場合

・上司の支援は、上司が多忙のために上司への報告・調整ができにくい場合に低下する場合があります。また、トラブルが多い職場では上司の支援の必要性が増大して、相対的に上司の支援が低くなる場合があります。従業員が必要な場合に上司に円滑に報告・相談ができているかどうかに注意しましょう。

・職場グループ内の連絡会議の回数を増やして情報や問題を共有することも、上司や同僚の支援を増やすために効果的です。サブリーダーなどを設置して、上司の支援機能を代行できるように工夫することも一つの方法です。

・職場内のレイアウトや分散職場であることが、上司や同僚の支援を低下させている場合があります。コミュニケーションが円滑にできるような職場レイアウトやオフィス・作業所の配置を工夫しましょう。

・不公平感は、職場の人間関係を損ね職場の支援を低下させる大きな原因です。上司から従業員へのきちんとした説明、オープンで公平な態度によって不公平感がおきないように留意しましょう。

・管理監督者へのストレスに関する知識や部下への対応法の教育・研修によって、上司の支援を増加させることができます。