管理職向け教育研修用のシミュレーションゲームの紹介

 職場のメンタルヘルスにおいて、職場で従業員の精神的な問題を早期に発見し、適切に対処することは、自殺の予防や精神疾患からの早期の回復のためにとても重要な活動です。

私たちは、このために2つのことが重要と考えています。

1.事業所ごとに、精神的な問題について秘密を守って相談できる窓口や相談経路を設置すること。

  私たちは、事業所内では産業医や保健婦・看護婦などの医療職がこの窓口になり、さらに社外の専門家と連携する体制を作ることがよいと考えます(もちろん、社内にカウンセラーや非常勤精神科医を確保できる恵まれた企業ではその方が絶対よいですが)。

  これまでにうまく機能しているメンタルヘルス相談の窓口は、秘密を守って相談できることがポイントになっています。秘密を守って相談を受けることに事業所の了解を得て、これを従業員に公表しておくことが成功のコツです。

2.部下の精神的な問題に、管理監督者が気づき、適切に対応できるための管理職向け教育研修を実施すること。

  精神疾患の7割は、その上司が第一発見者であるというデータもあります。精神疾患による労災認定事例の中にも、管理職の初期対応がきちんとしていれば不幸な事態が防げたと思われるケースも多くあります。日常従業員と接している管理監督者が部下の精神的問題に気づき、適切な対応ができるように、管理職の教育・訓練を実施しておく必要があります。これは米国の職場のメンタルヘルスサービスであるEAPでも取り入れられている方法です。

ここに掲載されているシミュレーションゲームは、管理監督者が部下の精神的問題に気づいた時にまずどのように対応すべきかについてわかりやすく教育研修を実施するために、三菱重工本社の北村尚人先生によって開発されたものであり、これを岡山大学川上が一部を改変してこれまで50以上民間企業・公共団体の管理職向けメンタルヘルス講演会で合計100回以上使用して好評を得てきたものです。必ず皆さんの会社での管理職向けのメンタルヘルス教育にお役に立つと信じております。

なお、北村尚人先生執筆のシミュレーションゲームブックも発売されていますので、ご参考になさってください。北村尚人.シミュレーションで学ぶメンタルヘルスワークブック.法研, 2001.