事業所の規模や特徴に合わせたストレス・メンタルヘルス対策の組織づくり

 事業所の規模や特性に合わせて、効果的な組織づくりをすることが、ストレス対策やメンタルヘルス対策を成功させる大きなポイントになります。ストレス・メンタルヘルス対策は、専門家に委託するだけではうまく進みません。社内での従業員および管理監督者にどう役割を担ってもらうかが大事です。

企業のメンタルヘルスの体制:産業保健スタッフを中心とした組織のモデル

区分 ケース対応(早期発見や職場復帰) ストレス対策
従業員 精神的問題への気付き

 

ストレスへの気づき

ストレス対処の向上

管理監督者 部課の精神的問題への気づきと対応 職場のストレスの改善

部下への適切なサポート

産業保健スタッフ

(産業医、保健婦

・看護婦など)

個別相談と指導

社外機関への紹介

教育・研修

追跡管理

作業環境や職場組織の計画的改善

個別の相談・指導

従業員のストレス対処の技術指導

教育・研修

相談できる専門家

(精神科医、カウン

セラー、EAPなど)

・相談、診断・評価、指導 (専門的なもの)

・社外機関への紹介

・教育研修

・追跡管理(専門的なもの)

職場改善の技術的支援

教育・研修

社外の医療機関など 相談、治療、結果報告  

 

組織づくりのヒント

 上の表の「相談できる専門家」をどう確保するかによっていくつかのパターンがあります。事業所の規模や事情に合わせてどれかを選択するのがよいでしょう。

1)精神科医やカウンセラーを常勤または非常勤(週1回程度)で雇用する

 専門家を社内で確保する方法です。従業員数2千名以上程度の大きな規模の事業所向けですが、最も望ましいと言われています。

2)社外のメンタルヘルス専門家や専門機関(EAP機関)と契約する方法

 最近は、事業所向けにメンタルヘルスのサービスを提供する民間機関が増えてきました。こうした機関と契約することで、質の高いサービスが安価に得られます。

3)社外の精神科クリニックなどと連携する方法

 事業所の近くで、付き合いやすい精神科クリニックなどのお医者さんに日頃からよくお願いしておき、相談したいケースなどが発生したら、電話などでどう対処すべきかたずねることができるようにしておきます。ある調査では、精神科クリニックの半数くらいは、事業所と契約を結んでこうしたサービスを提供してもよいと言っています。

4)産業保健推進センター、地域産業保健センター、精神保健福祉センターなどと連携する方法

 事例が発生するごとに、こうした公的機関にどう対応するかをたずねることもできるでしょう。しかし日頃から連絡をとったり事前に相談しておかないと、緊急の時にうまく連携できないので注意しましょう。