職業性ストレス簡易調査票は、全体で3つの構成、4つの大きな質問からなります。
最初の質問Aは、“あなたの仕事について”であり、この質問は職業性のストレス因子について尋ねています。
2番目の質問Bは、“最近一ヶ月のあなたの状態について”であり、この質問はストレス反応についてです。
3番目C“あなたの周りの方々”と最後の質問D“満足度”については、ストレス因子とストレス反応との関係を修飾する因子について尋ねています。
職業性ストレス簡易調査票の採点方法
職業性ストレス簡易調査票の採点方法は2種類有ります。1つは標準化得点を用いる方法(約3000名のデータから算出)であり、もう1つは解答肢を2分割しチェック項目が幾つあったかを数える簡易採点法です。
AからDまでの計57項目に対する1から4の回答を、コンピュータに入力しプログラムでファイルを読み込む事により、自動的にフィードバックのための表2枚を出力できます。フィードバックためのプログラム(Windows95以上)は東京医科大学から無償で提供してもらえます。またこのサイトからもダウンロードできます。
コンピュータを用いた表の出力ができない場合や、調査票に回答してもらったと同時にその結果を労働者にフィードバックしたり判定評価を行いたい場合には、簡易採点法を用いて採点する事が可能です。
Aでは、調査票の左上の最初の7項目(No.1〜No.7)の回答で「ストレスの大きい方2つの回答枝」に入るものが6つ以上あれば仕事の負担度「要チェック」とします。
次の3項目(No.8〜No.10)で「ストレスの大きい方2つの回答枝」に2つ以上あればコントロール度「要チェック」とします。
No.12〜No.14の3項目も,「ストレスの大きい方2つの回答枝」に2つ以上あれば対人関係「要チェック」とします。
また、No.16とNo
17と、先ほど飛ばしたNo.11の3つに関して「ストレスの大きい方2つの回答枝」に2つ以上あれば仕事の適合性「要チェック」とします。
Bでは、Aと同様に「ストレスの大きい方2つの回答枝」に入っている質問の数を数え、No.1〜No.18に14個以上、No.19〜No.29に6つ以上についていれば、それぞれ心理的ストレス反応、身体的ストレス反応「要チェック」とします。
Cでは、No.1,2,4,5,7,8の項目で5つ以上「ストレスの大きい方2つの回答枝」に入っていれば職場内支援度「要チェック」、No.3,6,9の項目で2つ以上グレーゾーンに入っていれば家庭内支援度「要チェック」とします。
これらの作業が終了したら、AからCまでの、要チェックとなった数を調べます。
これまでの研究では、A(仕事のストレス因子)で、要チェックとなる項目(仕事の負担度、コントロール度、対人関係、仕事の適合性のうちのいづれか)が1つの人は、チェックのない人と比較して、Bで心理的ストレス反応要チェックとなるリスクが
3.7倍、Aでの要チェックが2つでは、Bでの心理的ストレス反応要チェックのリスクが
6.7倍、要チェックが3つ以上では 21.9倍になることが分かっています。
このことから、上記方法により簡易調査票をチェックし、A(仕事のストレス因子)で3つ以上に要チェックとなった人は、「ストレス問題が高い確率で疑われるケース」として、産業医、保健婦の面談や、心理相談の受診をすすめたり、「要観察ケース」として、注意深いフォローが必要と考えられます。
(以上、「職業性ストレス簡易調査票マニュアル」から引用)